疾と粋事

電子媒体に引き裂かれ落命

浅草

 

『さらざんまい』、まわりに推してるひとが多かったから履修した。

 

舞台が浅草で、ちらほら見覚えのある図がでてくるんだけど、エンディングがとびきり美しくて、浅草に並々ならぬ思い入れがある人間としてはちょっと、ウ………となりながら見ていた。

 

浅草、というか台東区一帯が好きで、穏やかで賑わってて、イイ喫茶店たくさんあるし、こじんまりとしたギャラリーたくさんあるし、ごはんも安くて美味しいし、ちょっと背伸びして入るようなお店もたくさんあるし、川近いし、上野~浅草歩いたり、川沿い歩いたり、仲見世の裏通りを歩いたりするのが好きで、なにせ気を抜いて浅草に行ったことがないので、積み重なった思い入れの層の濃さにクラっとする。次に住むなら台東区がいい。でも世田谷線沿線も気になるし、一度は中央線沿線(三鷹~阿佐ヶ谷)に住みたい人生だった気もするんだよな……。

 

 

久しぶりにひとりでちょっと遠くまで出掛けてみたら、泊まった宿のつくりがもう何年も前にひとりで泊まった浅草の宿によく似ていて、あの日食べたうどんやさんのこと、探せばきっとすぐに見つけられるんだろうっていつも思うけど、何となく探せないでいる。いつかばったり出会ったら泣いてしまうかもしれないと思うほど、折り合いなんてまだ全然つけられなくて、週にいちど浅草橋に出掛けるようになったいまの身分がすごくちょうどいい。

 

この町に、嫌な思い出がひとつもない。