疾と粋事

電子媒体に引き裂かれ落命

 

楽しみにしていたことが楽しかったとき、美味しそうなものが想像を越えて美味しかったとき、思わぬ美しいものを見たとき、予定を予定通りこなせたとき、他愛もない口約束を覚えていてもらえたとき、の、嬉しさや楽しさや、を知ってしまったので、人に期待をかけたり予定を楽しみにすることについてくるリスクを忘れてしまっていた

ずっとずっと前に、楽しみにしていたことが成されなかったとき、約束を守ってもらえなかったとき、言ったことを覚えていてもらえなかったとき、のつらさかなしさしんどさを散々味わって、人に期待をかけるのをやめた私はもう、どこにもいなくて、こういうとき、どうしていたのか全然思い出せなくて、楽しかったんだと思う、楽しくて幸せだったのねぇと思う、よかったね、ずっと忘れていてよかったのに

 

 

どこに行くときもサイアクの想像をしてから出掛けていて、それはとても馬鹿馬鹿しく、誰も傷つけない方法で、例えば、旅先の旅館の畳がめちゃくちゃカビているとか、それくらいのことを想像していた私のことを、とても不健全だという人が居た

今なら分かるな、今はだって、次の休みも、食事の予定も撮影も、どれもこれも楽しみにしている、ストレートに楽しみにして待つ以外のこと、逆にもうできないし、ぐずってる時間が惜しいなと思う

 

 

私の人生は私が最高にするしかないから、好きなだけ好きな予定で埋めて、死んでいこうな、人生

 

松尾さんは大丈夫だから/松尾さんは大丈夫そうに見えるから、とはよく言われるけれど、ここまで喜怒哀楽の激しく傷つきやすい人間、居る?と思ってしまう、全部自己防衛だよ、体調が悪いときは満員電車に乗り込む人たちを目にしただけで泣いてるもの。